ネット上の選曲ガイドでは「とにかくアップテンポなサマーソングを入れれば盛り上がる」と語られがちですが、これは現場を知らない大きな誤解です。現場で失敗を招く典型的な3つの盲点を解説します。
第一の盲点は、「歌詞の温度差」です。夏うたには湘南乃風やORANGE RANGEのような「底抜けの陽キャ・パーティー系」と、フジファブリックの『若者のすべて』やZONEの『secret base 〜君がくれたもの〜』のような「郷愁・センチメンタル系」の2大潮流があります。部屋がアルコールで盛り上がっている最中に後者のエモーショナルな楽曲を無言で投下すると、一気に場を冷ましてしまう危険があります。センチメンタル系は終電間際や会計直前のラストスパートに配置するのが鉄則です。
第二の盲点は、「サビ以外のパートにおける退屈時間」です。最近のストリーミングヒット曲は、サビは劇的にキャッチーでもAメロ・Bメロが複雑なフロウや小声のラップで構成されているケースが多々あります。歌唱者本人が歌い慣れていない場合、サビに到達するまでの1分半が単なる「モニタを睨みつける沈黙の時間」と化してしまいます。
第三の盲点は、「体力と声帯の限界計算」です。サマーソングは全体的にキーが高く、全力発声を要求される傾向があります。中盤で喉を酷使する楽曲を連続投入すると、終盤には喉が枯れてしまい、以降の曲で誰もマイクを握りたがらなくなる事態に陥ります。