審判とトップ選手の激突は、時にスポーツ史に残る強烈なドラマを生み出してきた。その筆頭と言えるのが、幾度となくコート上の厳格な裁定で波紋を呼んだカルロス・ラモスだ。2018年の全米オープン女子決勝におけるセリーナ・ウィリアムズとの激しい舌戦と指導は、世界中で議論を巻き起こし、審判の権威と選手の感情の境界線を浮き彫りにした。
対照的に、選手への温かい対話で知られるのが名審判のモハメド・ラヒヤニである。試合中に調子を落としたニック・キリオスに歩み寄り、異例の叱咤激励を行ったエピソードは、審判の枠を超えた人間味あふれる介入として語り継がれている。
映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』で描かれたように、かつてのテニス界では審判の誤審や裁定に対する暴言がゲームの熱量を高めるスパイスでもあった。テクノロジーが感情を排除した現代において、かつての名審判たちが醸し出した緊張感あふれる人間ドラマを愛おしむ声は根強い。