三の丸庁舎の建築的な価値を語る上で欠かせないのが、当時の茨城県営繕課長であり、宮内省内匠寮や兵庫県営繕課でも腕を振るった名建築家・置塩章(おきしお あきら)による設計です。置塩は兵庫県公館(旧兵庫県本庁舎)や宮崎県庁舎を手掛けたことでも知られ、重厚かつ端正な公共建築のパイオニアとして高い評価を得ています。
本建築の最大の特徴は、当時流行していた近世ゴシック様式(ネオ・ゴシック様式)を基調としている点です。鉄筋コンクリート造地上3階(一部4階・塔屋付)の威風堂々たるフォルムは、シンメトリー(左右対称)を基本としながらも、随所に繊細な意匠が施されています。
外壁を覆うスクラッチタイルは、櫛目状の溝が刻まれた昭和初期特有の素材であり、光の角度によって多彩な表情を見せます。また、玄関から内部へと足を踏み入れると、磨き抜かれた石造りの大階段が来訪者を迎えます。華美な装飾を削ぎ落としつつも品格を保つこの空間構成は、置塩章の卓越した職人技と合理主義的な設計思想を雄弁に物語っています。