道具の進化も、使い方を一歩誤れば歯を傷つける凶器と化す。オーラルケア大手のサンスター株式会社やライオン株式会社は、エナメル質への攻撃性を抑えた低研磨・低発泡のペースト開発を精力的に進めてきた。しかし、高密度の研磨剤が含まれたペーストと硬めの歯ブラシを組み合わせ、力任せに磨けば、数ヶ月で歯の表面には無数の微細なスクラッチ傷が刻まれる。
近年普及が著しい電動歯ブラシについても、扱いには注意が必要だ。超音波や高速回転を誇るデバイスは、自力でブラシを動かす必要が一切ない。毛先を軽く歯面に添えるだけで十分なプラーク除去能力を発揮するよう設計されているにもかかわらず、手磨きの癖でゴシゴシと押し付けてしまうユーザーが後を絶たない。道具のポテンシャルを正しく理解することが、歯の寿命を延ばす絶対条件となる。