同社の命運を決定づけたのは、2023年に表面化した大規模な自動車保険金の不正請求問題です。事故車両の修理費用(工賃)を水増しするため、ゴルフボールを入れた靴下で故意にボディを叩く、ドライバーで車体を傷つける、タイヤに釘を刺してパンクさせるといった悪質な手口が次々と暴かれました。
さらに、店舗前の街路樹に除草剤を散布して枯死させていた問題や、下請け業者への過度な圧力など、企業倫理を根底から覆す蛮行が相次いで露呈。金融庁による業務改善命令や国土交通省による民間車検場の指定取り消し、損害保険各社からの損害賠償請求が集中し、社会的な信用は完全に失墜しました。
顧客離れと金融機関からの融資ストップが重なったことで、業界内では「ビッグモーターが民事再生法を適用して倒産・破産するのではないか」という噂が現実味を帯びて囁かれました。巨額の負債と賠償責任を抱えたまま、旧体制単独での事業継続は完全に不可能な局面に追い込まれたのです。