訪問看護を介護保険で利用するには、明確に定められた利用条件をクリアする必要があります。第一の前提となるのが、市区町村から「要支援1〜2」または「要介護1〜5」の認定を受けていることです。65歳以上の第1号被保険者はもちろん、40歳から64歳までの第2号被保険者であっても、初老期認知症や末期がんなど16種類の特定疾病によって要介護認定を受けていれば対象に含まれます。
ここで多くの方が混乱するのが、医療保険との棲み分けです。日本の社会保障制度には「介護保険優先の原則」が存在します。要介護認定を持つ方が訪問看護を利用する場合、本人の希望でどちらかを選ぶことはできず、法令上自動的に介護保険が適用される構造になっています。
ただし、この原則には明確な例外規定が設けられています。要介護者であっても、以下のケースに該当する場合は医療保険へ切り替えが行われます。
一つ目は、厚生労働大臣が定める特定の病気(介護保険の対象疾患から除外され医療保険扱いとなる多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病関連疾患、末期がんなどの「別表第7」に該当する難病)を患っている場合です。二つ目は、病状の急激な悪化によって主治医から「特別訪問看護指示書」が交付された場合であり、この指示書が出された日から最長14日間は医療保険での手厚い介入(連日の訪問など)に移行します。
利用開始に至る訪問看護指示書の交付経緯にも着目しなければなりません。訪問看護は医療行為を伴うため、ケアマネジャーがケアプランを作成するだけではサービスを開始できません。利用者の主治医(かかりつけ医)が医学的な必要性を認め、訪問看護ステーション宛てに指示書を発行して初めて稼働します。主治医、ケアマネジャー、訪問看護師の3者が連携して病状を共有するプロセスこそが、安心な在宅療養を成立させる基盤です。