同店の象徴とも言えるカーンケバブビリヤニのチキンビリヤニがテーブルに運ばれてきた瞬間、まず視覚を奪うのはその優美な色彩です。白米の白、サフランやウコンが染みた鮮やかな黄色、グレービーが絡んだ深い赤橙色がマーブル状に混ざり合い、細切りの生姜とフレッシュコリアンダー(パクチー)が天盛りにされています。
スプーンを深く差し込むと、大ぶりの骨付きチキンがゴロゴロと惜しみなく埋め込まれている事実に気付きます。スプーンで軽く押すだけで骨からホロリと外れるほど柔らかく煮込まれており、パサつきは一切ありません。肉の繊維の奥深くまでクミン、コリアンダー、カルダモン、シナモン、クローブなどの風味が浸透しており、噛み締めるたびに濃厚な旨味が溢れ出します。
食べ進める中で出会うホールスパイスの存在感も、この店の持ち味です。カルダモンの鞘をプチッと噛み潰した瞬間に広がる爽快なシトラス系の芳香や、クローブの重厚な苦味。これらが単調になりがちな米料理にドラマチックな緩急を与えます。途中で別添えのライタを豪快に回しかけると、乳脂肪分とヨーグルトの酸味がスパイスの角を丸め、全く異なるマイルドでリッチな味わいへと変貌を遂げます。