無機触媒の導入にあたっては、優れた長所だけでなく固有のリスクや課題も把握しておく必要があります。
最大のメリットは、過酷な環境耐性と長寿命設計にあります。連続プロセスによる大量生産が可能なため、製品単位あたりの製造コストを最小限に抑えられます。一方で、貴金属を用いる場合の原材料コスト高騰や、副反応による目的外物質の生成(選択性の低さ)がデメリットとして挙げられます。
さらに運用上の重大な課題となるのが、触媒毒による劣化原因です。原料や排ガス中に含まれる微量の硫黄化合物(SOx)、鉛、一酸化炭素、ヒ素などの不純物が触媒の活性点に強固に吸着すると、触媒能力が著しく減退する「被毒」が起こります。加えて、長時間の高温運転による金属粒子の凝集(シンタリング)や炭素微粒子の析出(コーキング)も活性低下を招くため、定期的な再生処理や触媒自体の耐被毒性改良が欠かせません。