スマートフォンの画面は滑らかで、冷たい。だからこそ、人々は摩擦を求めている。
今年に入り、日本のインディーズシーンを中心に、あえてザラついた質感の紙や、特殊なインクを使ったフィジカル(物理)リリースが急増した。配信が主流の今、CDやレコードを買う動機は「音源の所有」ではない。ジャケットそのものを部屋に飾り、所有欲を満たすためだ。
あるグラフィックデザイナーは語る。「画面の中でどう見えるかではなく、光に当てたときにどう反射するかを考えてデザインしています」。デジタルファーストの時代を経て、表現の主戦場は再びリアルな質感へとシフトしている。