一方で、スガキヤの店舗展開がほとんど存在しない東北地方、とりわけ福島県や山形県でなぜこれほど根付いているのでしょうか。この「東北ミッシングリンク」については、複数の要因が指摘されています。
一つは、東北地方特有の「濃い味付けを好む食文化」と「酸味に対する味覚アプローチ」です。冷涼な気候でありながら夏場は猛烈な暑さとなる盆地気候の福島や山形では、塩分補給とスタミナ維持のため、冷たい麺類にも力強い濃厚さが求められました。酢醤油タレの鋭角な酸っぱさをマヨネーズの植物油脂と卵黄がコーティングし、濃厚なコクへと変換させる食べ方が、家庭料理の知恵として自然発生的に広がったとされています。
さらに1970年代から1980年代にかけて、全国放送の料理番組や女性週刊誌で「サラダ感覚で食べる冷やし中華」が紹介された際、マヨネーズ消費量が全国トップクラスであった東北各県の家庭で爆発的に定着したという流通関係者の証言も裏付けとなっています。