多くの登山者が抱く最大の疑問は、「晴れマークがついているのに、なぜ登山指数がCなのか」「指数Cの日に山頂へ向かったら、無風で絶好の登山日和だったのはなぜか」という点に集約されます。
この現象の鍵を握るのが、天気とくらすにおける風速判定基準の重み付けです。同サービスが明示している基本ロジックにおいて、登山指数は単に「雨が降るか否か」で決まるわけではありません。標高に応じた「風速」「気温」「日照・降水」の組み合わせで計算され、とりわけ風速のパラメータが厳格に設定されています。
山岳における風は、体温を急激に奪い、滑落や低体温症の直接的な引き金となるため、気象力学的には妥当な安全設計といえます。一般的な判定ラインとして、風速がおおむね秒速10〜15メートル以上と推計された場合、上空に一片の雲もない快晴であっても、システムは自動的に「登山に適さない」を意味する「C」判定を叩き出します。
これが「指数Cの奇跡」と呼ばれるパラドックスの正体です。地形によって風が遮られる樹林帯のルートや、局所的な谷あいの登山道を歩いている限り、稜線上の猛烈な風を体感することはありません。登山口にいるハイカーからすれば「無風快晴なのに危険なC判定だった」と感じられ、結果として「てんくらが外れた」という認識が拡散していく構造です。逆に、指数Aが出ている日であっても、真夏の熱対流による局地的なゲリラ雷雨はメッシュ予報の網の目をすり抜けるため、「指数Aだから登ったのに雷雨に打たれた」という事故にもつながります。