ここ数年のハリウッド映画は、安易なリメイクやシリーズものに依存しがちだと批判されてきた。しかし本作は、その停滞した映画業界に冷や水を浴びせるような鋭利なクリエイティビティに満ちている。ワーナー・ブラザース・ピクチャーズが投じた巨額の制作費は、CGの無駄遣いではなく、底なしの暗闇を描き出すダークファンタジーの美術セットと重厚な音響演出に費やされた。
ダークな雰囲気を漂わせながらも、ストーリーの根底には緻密な科学的アプローチとロジックが敷き詰められている。現実と非現実の境目がグラグラと揺らぎ、観客自身が主人公の狂気に巻き込まれていくような体感型シネマ。既存のヒット法則を敢えて捨て去り、独自の地平を切り拓こうとする制作陣の執念が、画面の端々から立ち上っている。