ポワレを最高傑作に仕上げるための最大の武器が、スプーンを使ったアロゼ(arrosage / 油を回しかける作業)です。
魚の身は直接フライパンの高温(160℃〜180℃)に触れ続けると、筋繊維が急激に縮んで水分が抜け、パサつきの原因になります。そこで、熱源に当てるのは「皮目側」のみとし、上面の「身側」にはフライパンに溜まった60℃〜80℃程度の中温のオイルを連続してかけ続けます。
この間接加熱により、身のタンパク質が急激に変性することなく、まるでスロークッカーで低温調理したかのようなシルキーでみずみずしい食感が完成します。火を止める直前の残り1分でバター1片とハーブ(タイムやローズマリー)を加え、泡立った香ばしい焦がしバターをアロゼすることで、レストラン特有の芳醇なアロマが身全体に染み渡ります。