杉咲花とNHKのタッグを語る上で欠かせないのが、2016年放送の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』だ。ヒロインの妹・小橋美子役として出演した当時、彼女はまだ10代。しかし、繊細な視線の動きや佇まいだけで画面の空気を一変させる天性の才能は、すでに業界関係者の間で強い注目を集めていた。
所属する研音で実力派俳優たちの背中を見つめながら磨き上げた芝居の土台。それは「役を演じる」のではなく、「役の人生をその場で呼吸する」という徹底したリアリズムだ。脇役として朝ドラの過酷な撮影スケジュールを体感した経験が、数年後の『おちょやん』での座長としての立ち振る舞い、そして現場を牽引する強靭なリーダーシップへと結実していった。