横浜富岡八幡宮が誇る最大のご利益は、物理的な津波をも遮ったとされる故事に基づく「厄除け」「方位除け」「災難除け」です。人生の荒波を乗り越える守護神として、厄年の厄払い、事業の危機回避、航海安全、交通安全を願う参拝者が年間を通じて絶えません。
人生儀礼においても、地域住民をはじめ広く親しまれており、七五三やお宮参り、安産祈願の祈祷所として高い評価を得ています。境内は緑に包まれ、大規模神社のような過度な商業化がされていないため、家族で落ち着いて祈祷を受けられる点が選ばれる要因となっています。
神事の中で特筆すべきは、毎年7月(海の日の前日など)に斎行される「祇園舟(ぎおんぶね)」です。800年以上の歴史を誇り、神奈川県指定無形民俗文化財に登録されているこの神事は、青茅(あおがや)で編まれた一対の舟に人々の罪や穢れ、厄災を託し、木造の祭送船に曳かれて沖合深くに流し去る海洋神事です。
青い海に浮かぶ茅舟の美しさと、古式ゆかしい儀礼の厳かさは、民俗学的にも極めて貴重な価値を持ち、例大祭と並んで全国から研究者や写真愛好家が足を運ぶ重要な文化的行事となっています。