学術都市ラノアに位置するラノア魔法大学にて、特待生として入学したルーデウスと「フィッツ先輩」は運命の再会を果たします。しかし、ルーデウスは目の前の美少年がかつての幼馴染であるとは夢にも思いませんでした。髪色が緑から白へ変わっていたこと、男装とサングラスで容姿が隠されていたことに加え、当時のルーデウス自身がエリスとの別離によって重度のED(心因性勃起不全)と人間不信を抱え、他者への観察眼が鈍磨していたためです。
対するシルフィエットは、再会の初手から相手が最愛の「ルディ」であると確信していました。しかし、彼が自分を完全に男の先輩として扱ってくる現実を前に、「もし女性だと名乗り出て、過去の自分に失望されたらどうしよう」「今のルディにとって自分は大切な存在ではないのかもしれない」という深い拒絶への恐怖から、真実を切り出せずにいました。
もどかしい疑似男色的な友情関係が打破され、真実の扉が開かれたのはTVアニメ第2期12話(通算23話)「伝えたい」(原作小説第9巻)です。アリエル王女の後押しを受けたシルフィエットは、ルーデウスを大学近郊の森にある雨宿りの洞窟へと誘い出します。
豪雨の中、泥に足を取られて転倒し、外れたサングラスの奥から覗いたその瞳と泣き顔。雨水に濡れて透けた衣服越しに露わになった柔らかな女性の身体。そして「ルディ……私だよ」という絞り出すような一言によって、ルーデウスの脳裏で分断されていた記憶のピースが激しく結合します。幾重もの誤解と恐れを乗り越えたこの邂逅は、作中屈指の叙情的な名場面として語り継がれています。