近年の夏は容赦がない。日中の気温が35度を超える日が続く中、従来の農法では稲の根が傷み、栄養を十分に吸収できなくなる。そこで彼らが着目したのが、土中の生態系だ。土壌センサーを張り巡らせ、水分量や窒素濃度だけでなく、微生物の活性度をリアルタイムで数値化。データに基づき、必要な箇所に必要な分だけの有機堆肥をピンポイントで投入するシステムを構築した。
このスマート農業と有機農法のハイブリッド化により、土壌の保水力は劇的に向上した。周囲の田んぼが干上がっても、彼らの圃場(ほじょう)はしっとりとした黒土を保ち続けた。汗水たらすだけの重労働から、データを駆使した頭脳戦へ。現場の若手スタッフは、「土の声が数字で見えるから、迷いがない」と自信をのぞかせる。