『名探偵コナン』を語る上で避けて通れないのが、「なぜ重要キャラクターである赤井秀一と黒羽盗一の声優が同じ池田秀一氏なのか?」という疑問です。同一作品で主要人物の声が重複することは、一般的なアニメーション制作においては混乱を招くリスクがあり、極めて異例の措置とされます。
このキャスティングが実現した最大の理由は、青山剛昌氏の池田秀一氏に対する絶大なリスペクトにあります。そもそも赤井秀一というキャラクター自体、シャア・アズナブルの異名である「赤い彗星」と池田秀一氏の本名を掛け合わせて名付けられた経緯があり、アニメ化にあたっても池田氏の登板は必然でした。
一方の黒羽盗一もまた、『まじっく快斗』連載初期から青山氏が特別な思い入れを抱く「究極の父親像」でした。結果として、青山氏が愛してやまない二大カリスマキャラクターの両方を池田氏が担うという、原作者公認の贅沢な采配が下されたのです。かつてファンの間では「赤井秀一と黒羽盗一には生き別れの兄弟などの血縁関係があるのではないか」という深読み考察も生まれましたが、声の重複は血縁の伏線ではなく、青山ワールドの神髄を表現するための配役上の奇跡であったと整理できます。