スマートフォンの画面が縦型になり、視聴者の視線はより出演者の「表情」にフォーカスするようになった。壮大なアクションや派手なCGがなくとも、ただ一人の男が煙草を吸い、物思いに耽るだけで画面が持つ。この「画(え)の強さ」において、長年舞台やインディーズ映画で牙を研いできた中高年俳優たちの右に出る者はいない。
さらに、外資系配信プラットフォームの台頭がこの流れを加速させた。日本独自の「おじさん文化」は、海外の視聴者にとって新鮮なエキゾチシズムとして受け止められている。かつての黒澤映画の系譜を引くような、寡黙でいて感情の機微を繊細に表現する演技スタイルが、言語の壁を越えてアルゴリズムに乗ったのだ。