楽曲や舞台演出と並び、視覚面で強烈なインパクトを残すのが「トンチキ衣装」の存在です。アイドルの歴史において、衣装のインパクトが語り草になるケースは決して珍しくありません。
その伝説の筆頭として語り継がれるのが、1999年の嵐のデビュー会見で披露されたスケースルー素材のビニール雨合羽風衣装です。鍛え上げられたアイドルの身体をクリアビニールで包むという前代未聞のビジュアルは、当時の世間に巨大な衝撃を与えました。その後も、過剰な蛍光色、巨大すぎる肩パッド、布地が見当たらないほどの電飾、左右でまったくデザインの異なる謎の構造など、観る者の度肝を抜くトンチキ衣装が数多く生み出されてきました。
新曲の歌唱時やコンサートの幕開けで奇抜な衣装が登場した際、SNS上では瞬く間にファンの実況でタイムラインが埋め尽くされます。ネットの反応を観察すると、その受け止め方は非常にユニークです。
「最初は正気を疑ったのに、曲が終わる頃にはカッコよく見えてくるから悔しい」「トンチキ衣装を着こなせてこそ本物のトップアイドル」「事務所からの謎の試練をまた乗り越えてしまった」といった具合に、困惑から受容、そして称賛へと移行するプロセスそのものがエンターテインメントとして消費されています。洗練された現代的なスタイリングが主流となった今だからこそ、あえて放たれる異形の衣装は、ファンの結束を強める起爆剤としても機能しています。