「朝は青空が広がっていたのに、昼過ぎから急激に冷たい風が吹き荒れ、どんよりとした低い雲に覆われた」――東松島市を訪れた観光客や沿岸部の作業員から頻繁に聞かれる証言です。結論から言えば、東松島市の天気は午後に向けて急変しやすい潜在リスクを常に抱えています。その主因は、仙台湾から吹き込む海風前線と内陸の暖気が衝突する局地前線の形成にあります。
日中、地表が日射によって急速に暖められると、内陸で上昇気流が発生します。これに引き寄せられる形で、太平洋の冷涼な空気をたっぷり含んだ南東または東寄りの湿った風が一気に陸地へと侵入します。この海風前線が松島丘陵や牡鹿半島の地形と干渉するポイントにおいて、短時間で積雲が急発達し、局地的なにわか雨や視程の急激な悪化を引き起こすのです。
とりわけ春先から初秋にかけては、北東気流である「やませ」の影響を受けやすく、海沿いから濃密な下層雲(海霧)が這い上がってくる現象が多発します。天候急変を事前察知するためには、単なる降水確率のパーセンテージを見るだけでは不十分です。東松島市現在の雨雲の動きを高解像度雨雲レーダーで追跡するとともに、気圧配置図における沿岸前線の走向を確認することが極めて重要になります。