映像の美しさを何倍にも引き立てているのが、音楽の力です。番組全体のスコアを手掛けた阿南亮子の叙情的な旋律に加え、エンディングで流れる松任谷由実の名曲『翳りゆく部屋』のカバーや、ジャズのスタンダードナンバーをベースにした挿入歌・劇中歌が、京都の持つ「艶やかさと孤独」を浮き彫りにします。夕暮れ時の町家から漏れる灯りとアコースティックな音色の融合は、テレビの枠を超えた映画的カタルシスを約束してくれます。
ドラマのあらすじを振り返ると、そこには常に「京都に縛られる者」と「外から京都に魅せられた者」の心理戦が横たわっています。三八子を巡るロマンスの行方や、代々続く家業を守るための残酷なまでの決断など、一見すると美しい風景の裏に、血縁や掟に縛られた人間の業が容赦なく描かれます。ハッピーエンドともバッドエンドともつかない、含みを持たせた結末こそが、まさに京都の町が秘める底知れぬ奥行きを象徴しているのです。