さとうほなみの女優としての評価を決定づけた最大の転機は、2022年にテレビ朝日系で放送された大ヒットドラマ『六本木クラス』(韓国ドラマ『梨泰院クラス』の日本リメイク版)における綾瀬りく役でした。
りくは、主人公が営む居酒屋「二代目みやび」の厨房を預かる料理人であり、身体の性と心の性が一致しないトランスジェンダーという極めて繊細かつ難易度の高い役どころです。当初は料理の腕前が未熟で仲間からも不満をぶつけられ、自分自身のアイデンティティにも葛藤を抱えていた人物が、主人公の全幅の信頼を受けて料理人として覚醒していく様を、彼女は徹底したリアリティで体現しました。
特に視聴者の間で社会的な反響を巻き起こしたのが、劇中の料理対決番組のクライマックスシーンです。トランスジェンダーであることが世間に暴露され、好奇と偏見の目に晒されながらも、銀髪ショートの洗練された姿でスタジオに歩みを進め、「私はダイヤだ」という強い自己肯定の台詞を言い放った場面は、SNS・X(旧Twitter)上でトレンド1位を獲得。リアルタイムの視聴者からは以下のような賞賛が殺到しました。
「ドラムを叩いているほな・いこかと同一人物だと最後まで気づかなかった」
「中性的な佇まいから放たれる声の震えと目線の強さに鳥肌が立った」
「単なるジェンダー記号ではなく、1人の人間としての尊厳を演じきっている」
テレビ誌記者やドラマ制作デスクからも、「感情の起伏を大仰に誇張せず、抑制された息遣いと眼差しで語る技術が卓越している」と評され、単なる話題性キャスティング枠から、日本の映像界になくてはならない本格演技派としてのポジションを完全に確立しました。