現場で直ちに現行犯逮捕されたのは、右翼団体構成員を名乗る徐裕行だった。彼の犯行手口は手際が良く、あまりにも無駄がなかった。裁判において徐は「オウムに対する憤りから単独で計画・実行した」と主張し、刑法上の単独犯として懲役12年の判決が確定、服役した。
しかし、捜査を担当した警視庁内部やジャーナリストたちの間では、当初から「単独犯行」という筋書きに疑問の目が向けられていた。特定の組織や暴力団関係者との接点が取り沙汰され、誰が彼に包丁を持たせ、現場へと送り込んだのかという問いが消えることはなかった。徐自身の動機供述には変遷があり、背後で糸を引く「指示役」の存在を匂わせる発言も散見されたが、法務・警察当局がその真相を公に解明することはなかった。