伝統と革新の共存は、決して平坦な道のりではない。四国遍路文化の保存と振興を司る四国八十八ヶ所霊場会や地元自治体の間でも、景観開発と聖域の尊厳を守るバランスについては深い議論が重ねられてきた。白装束に身を包んだお遍路さんと、カジュアルな装いで公園を楽しむ観光客が同じ空間を行き交う光景は、一見すると対照的だ。
香川県観光協会も後押しする地域振興の波の中で、寺側は開かれた姿勢を崩さない。訪れる動機が何であれ、山上で過ごす時間を通じて四国の風土と精神性に触れてもらうことこそが重要であるという哲学が、この地には根付いている。排他性を捨て、寛容に人々を迎え入れる姿勢こそが、遍路の根底にある「お接待」の心そのものなのだろう。