麦穂帯を美しく、かつ緩まないように巻くためには、基本となる包帯操作の型を守る必要があります。包帯の巻軸(ロール)を上向きに持ち、皮膚から浮かせずに転がす「包帯転がし」を徹底します。
1. 肩麦穂帯(上行性)の標準手順
肩麦穂帯は、上腕から反対側の腋窩(わきの下)を経由して胸部・背部を八の字に回る難度の高い手技です。
- 体位の保持と皮膚保護:患者を端座位または安楽な座位とし、上腕を軽度内転位に保持します。両側の腋窩には皮膚同士の擦れや汗による浸軟を防ぐため、あらかじめ綿受敷やガーゼを挟みます。
- 上腕部での環行帯:患側の上腕中央部で包帯を2〜3周、水平に巻いてアンカー(固定部)を作ります。
- 肩峰部への斜行と体幹周回:上腕外側から肩峰を通り、胸部(または背部)を斜めに横切って健側の腋窩下を通します。
- 患側への復帰と交差:健側腋窩から背部(または胸部)を通って患側肩部へ戻り、最初の斜行ラインと肩関節外側で交差させます。
- 2/3重ねの反復:患側上腕を一周し、前回より幅の1/2〜2/3中枢側(上側)へずらしながら同様の八の字周回を3〜4回繰り返します。
- 固定完了:最後に上腕部または胸部で環行帯を行い、テープ留めまたはピン留めで確実に固定します。
2. 股関節麦穂帯の基本ポイント
股関節麦穂帯は大腿部基部から腰部・骨盤を巡る手技です。大腿上部で環行帯を行った後、鼠径部を斜めに上がって骨盤(腸骨稜の上部)を一周し、再び大腿部へ戻って交差を作ります。患者の体格に合わせて幅の広い包帯(7.5cm〜10cm幅)を選択し、骨盤周回時に包帯が腰骨に食い込まないよう平坦に沿わせることが痛みを防ぐコツです。
3. 母指麦穂帯の巻き方
手関節部で2回環行帯を行って基部を固定した後、手背を通って母指末節部(爪の付け根付近)へ斜めに進みます。母指を一周して手背へ戻り、手関節を回って再び母指へ向かいます。交差部を手背の第1中手骨上に一直線に並べることで、指の過度な外転を抑制しつつ、美しい仕上がりになります。