健康情報が氾濫するWeb上には、善意から生まれた誤解や、科学的根拠を欠いた「神話」が今なお定着しています。良かれと思って実践した行動が、かえって体調を悪化させてしまうケースを防ぐため、代表的な3つの誤解を正します。
第一の誤解は、「豆乳は飲めば飲むほど生理痛が消える」という過信です。大豆イソフラボンは植物性エストロゲンとして有益ですが、内閣府食品安全委員会が定める大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限は70〜75mg(特定保健用食品等からの上乗せ上限は30mg)とされています。豆乳を1日に何パックもガブ飲みすると、かえって体内のホルモン受容体が飽和・攪乱され、月経周期の乱れや子宮内膜の過剰な肥厚を招き、翌月以降の月経痛を悪化させるリスクがあります。1日200mlの小型パック1本で十分です。
第二の誤解は、「ハーブティーならどんな種類でも生理中に良い」という思い込みです。例えば、女性に人気のハーブであっても「ペパーミント」などのメントールを多く含むものは、体感を清涼にする一方で過度な冷却感をもたらしたり、体質によっては血圧低下を誘発したりします。また、子宮収縮作用を持つハーブ(セージや特定の濃縮カモミールブレンド等で妊娠中禁忌とされるもの)の過剰摂取は慎重に扱う必要があります。必ず「ノンカフェインで体を芯から温める作用」が確認されているブレンドを選ぶべきです。
第三の誤解は、「飲み物を工夫すれば、すべての生理痛は自力で完治できる」という危険な精神論です。食事や飲料によるセルフケアが有効なのは、主に骨盤内の血行不良や自律神経の乱れに起因する「機能性月経困難症」です。子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症といった物理的病変が潜む「器質性月経困難症」の場合、どんなに生姜湯を飲んでも根本解決にはなりません。生活改善に固執して医療機関への受診を遅らせることは、将来的な不妊や疾患の重篤化を招く大きな落とし穴です。