乾燥帯の気候を解剖!雨が降らない理由と砂漠・ステップの違い

乾燥帯の気候を解剖!雨が降らない理由と砂漠・ステップの違い

話題沸騰中の 乾燥帯の気候を解剖!雨が降らない理由と砂漠・ステップの違いについて、多角的な視点をご紹介しています。

映画やアニメーションの影響もあり、インターネット上や一般的なイメージでは「砂漠=1年中灼熱地獄」「砂漠=一面に広がる黄色い砂の丘」と思われがちです。しかし、気候学や地質学の観点から見ると、これは大きな事実誤認です。

第一の誤解は「砂漠の地形」に関するものです。地質調査データによると、いわゆる風が刻んだ美しい砂丘が広がる「砂砂漠(エルグ)」は砂漠全体の約15〜20%に過ぎません。残りの8割以上は、風化によって細かい砂が吹き飛ばされ、ゴツゴツとした角ばった岩が露出した「岩石砂漠(ハマダ)」や、小石が一面に敷き詰められた「礫砂漠(レグ)」で占められています。実際の砂漠地帯の多くは、砂に足を取られる場所ではなく、タイヤがパンクするような鋭利な岩盤地帯なのです。

第二の誤解は「気温」に関するものです。乾燥帯では空気中の水蒸気(湿度)が極端に低いため、温室効果がほとんど働きません。その結果、太陽が出ている昼間は強烈な直射日光によって地表が急激に熱せられ、気温が40℃〜50℃近くまで跳ね上がる一方、日没後は熱が宇宙空間へと一気に逃げていきます(放射冷却現象)。このため日射と気温の日較差は凄まじく、1日のうちに気温差が20℃〜30℃以上に達することも珍しくありません。

さらに、タクラマカン砂漠やゴビ砂漠のような中緯度の大陸性砂漠では、冬になるとシベリア高気圧の影響を受けて氷点下20℃以下まで冷え込み、砂漠一面が白銀の雪に覆われる光景すら日常茶飯事です。「乾燥帯=常に暑い」ではなく、「極度の乾燥によって熱の保持ができず、激しい温度変化に晒される地域」と捉えるのが科学的な真実です。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。