Q1:相手から「契約通りに引き渡さないなら裁判で訴える」と脅されています。訴訟を起こされたら負けてしまうのでしょうか?
A1:相手が自らの義務(代金の支払いなど)を果たしていない限り、全面的に敗訴することはない。法廷で正当に同時履行の抗弁権を主張・立証すれば、裁判所は「相手が代金を支払うのと引き換えに、目的物を引き渡せ」という引換給付判決を下す。相手が支払わない限り、強制執行で物を奪われる心配もない。
Q2:相手が代金の一部(内金)しか振り込んできません。残りが支払われるまで商品の引き渡しを拒めますか?
A2:原則として、不可分な給付(1台の車や1つの美術品など)であれば、代金全額が支払われるまで引き渡し全額を拒絶できる。ただし、分割納品が可能な契約において、99%の代金が支払われているのに些細な残額を理由にすべての引き渡しを拒絶するような極端なケースは、信義則違反として抗弁権の濫用と判断される判例があるため、バランスの見極めが必要となる。
Q3:同時履行の抗弁権を主張したい場合、内容証明郵便などを送る必要がありますか?
A3:法律上、抗弁権は要件が揃っていれば存在するだけで履行遅滞の違法性を阻却する(存在効果)とされている。したがって、書面の送付が権利発生の絶対条件ではない。しかし実務の現場では、言った・言わないの泥沼化を防ぎ、相手にプレッシャーを与えるためにも、「貴殿の債務履行が確認できるまで、当方の給付を保留します」とメールや内容証明郵便などの確定記録で明確に通告しておくことが、自己防衛として極めて有効だ。