生い茂りすぎた枝葉を根元からすべて切り落とし、幹だけの状態にする「丸坊主(まるぼうず)」。初めて目にする人にとっては枯死に直結する暴挙に見えますが、適切な条件下で行う限り、ガジュマルはこの極端な強剪定から鮮やかに復活を遂げます。なぜ葉が一枚もない状態から再生できるのか、その背景にはクワ科フィカス属特有の強靭な植物生理が存在します。
ガジュマルの太い幹や樹皮の下には、無数の「潜伏芽(休眠芽)」が眠っています。通常時は葉から分泌されるオーキシンという植物ホルモンが頂芽優勢を維持し、これらの潜伏芽の覚醒を抑え込んでいます。ところが、枝葉をすべて落とす丸坊主を行うと、この抑制ホルモンが消失します。同時に根から吸い上げられるサイトカイニンなどの成長シグナルが一気に幹へと集中し、わずか2〜3週間で樹皮を突き破るように無数の新芽が一斉に噴き出してくるのです。
ただし、この劇的な復活劇を成功させるには、タイミングの厳守が絶対条件です。ガジュマル剪定時期として適しているのは、気温が安定して20℃を超える5月中旬から7月上旬の成長ピーク期に限られます。この時期であれば光合成によるエネルギー補給が途絶えても、幹に蓄えられた貯蔵養分と旺盛な代謝によって瞬時に新しい葉を展開できます。逆に、気温が低下する10月以降や真冬に丸坊主を行えば、新芽を展開する活力がなく、幹内部の水分調整ができずにそのまま腐敗・壊死します。