1985年8月12日、日本中を激震が襲った。日本航空123便の墜落事故である。乗客の名簿の中に、坂本九の名前があった。あまりにも不条理で突然の別れに、柏木由紀子と幼かった子供たちは深い哀しみと深い喪失感に突き落とされた。
当時の報道陣を前にしても、彼女が見せた凛とした佇まいと溢れる涙は、人々の心に強く焼き付いている。夫を失った途方もない失意のなかで彼女を支えたのは、「九さんが残してくれた温もりのある家庭と子供たちを守り抜く」という母親としての強い覚悟だった。長女の大島花子をはじめとする娘たちを愛情深く育て上げ、悲しみを乗り越えて前を向く姿は、多くの人々に勇気を与えた。