医療機関で処方される酸化亜鉛製剤には、名称が酷似した「亜鉛華単軟膏」と「亜鉛華軟膏」が存在します。どちらも主成分は酸化亜鉛(20%)で同一ですが、決定的な違いは有効成分を溶かし込んでいる「基剤(ベース素材)」にあります。
日本薬局方の規格において、亜鉛華単軟膏は動植物性油脂などを主原料とする「単軟膏」を基剤としています。一方の亜鉛華軟膏は、流動パラフィンや白色ワセリン、サラシミツロウなどで構成される「白色軟膏」を基剤に採用しています。この基剤の差が、患部への刺激性や吸湿性に明確な違いをもたらします。
皮膚科医があえて「亜鉛華単軟膏」を指定して処方する最大の理由は、添加物や鉱物油による接触皮膚炎(かぶれ)の二次発生を防ぐためです。皮脂分泌が不安定で表皮が成人の半分ほどの厚みしかない赤ちゃんや、バリア機能が崩壊して浸出液が出ている皮膚には、余計な刺激を与えない単軟膏基剤が最も安全な選択肢となります。