ふきに含まれる特有のエグ味や苦味の主成分は、ペタシチンなどのポリフェノール類です。これらを適切に取り除きつつ、鮮やかな香りと歯ざわりを残すためには、加熱前の物理的・化学的処理が欠かせません。
まず行うべきは「板ずり」です。まな板に並べたふきに、重量比約2〜3%の粗塩を振り、両手の手のひらで体重をかけながらゴロゴロと転がします。この作業により、表面の微細な産毛が削り落とされるとともに、細胞壁が適度に刺激されてアクが抜けやすい状態になります。塩がついたまま沸騰したたっぷりの湯に入れ、太さに応じて3〜5分間茹で上げます。
茹で上がったら直ちに氷水または流水に取ります。この急冷によって、熱による食感の劣化を防ぎ、緑色の色素であるクロロフィルを安定させます。水にさらす時間は、アクの強さに応じて調整するのが鉄則です。栽培種なら約20〜30分、アクの強い天然の山蕗なら1〜2時間浸けておくことで、不快な雑味だけを綺麗に洗い流すことができます。
皮の筋取りに関しては、素材の太さを見極めることが肝心です。直径8mm以上の太い栽培ふきは、端から爪で筋をつまみ、ぐるりと一周剥き取ります。一方で、直径4mm以下の細い山蕗は、筋が非常に柔らかいため無理に剥く必要はありません。むしろ皮を残すことで、煮崩れを防ぎ、野趣あふれる力強い歯ごたえを楽しむことができます。