社外や若手社員の目には「何もしないで毎月決まった給料が振り込まれる最高の身分」と映りがちですが、現場の当事者が口を揃えるのは想像を絶する精神的負荷です。大手クチコミサイト(OpenWorkや転職会議)やSNSの告白投稿を精査すると、仕事がない状態がもたらす過酷な心理的現実が浮かび上がります。
実際の窓際族の主な日常業務・行動パターンは次の通りです。
- 社内ポータルサイトや業界ニュースサイトを何十回もリロードして読み漁る
- ExcelやPowerPointを開いたまま、業務を行っている風を装って画面を見つめる
- シュレッダーがけ、備品整理、共有フォルダの不要ファイル削除など、誰でもできる雑務を極端に時間をかけて行う
- トイレや喫煙所へ頻繁に足を運び、自席を離れることで時間を消費する
- 1日のタスクが「朝礼への出席」と「日報の提出」のみで終了する
元大手電機メーカー勤務の50代男性は、自著やメディアの匿名取材でこう語っています。『始業のチャイムが鳴った瞬間、今日やるべき仕事がひとつもないと分かっている絶望感は、経験した者にしか分かりません。同僚たちが忙しくキーボードを叩くなか、自分だけが時計の秒針の音に耳を澄ませる。8時間をただやり過ごす行為は、労働以上の苦痛であり、人間の尊厳を削り取られる精神的拷問でした』
心理学では、人間は社会的な承認や自己効力感(自分が他者や組織の役に立っているという感覚)を得られない環境に置かれると、学習性無力感に陥り、自己肯定感が完全に破壊されることが知られています。ネット上では「窓際族=天国」というステレオタイプが根強く残るものの、当事者の実感としては、組織からの透明人間扱いという「静かなる制裁」にさらされる地獄であるケースが大多数を占めます。