では、なぜ多くの人々が大人になってからも箸の持ち方に苦しむのだろうか。2026年現在の最新研究や調査データは、持ち方が崩れる原因が単なる「本人の意識不足」や「幼少期の躾の有無」だけではないことを証明している。政府が進める第5次食育推進基本計画においても、現代の食生活や身体発達の変化が指先の運動機能に大きな影響を及ぼしている点が指摘されている。
大きな要因のひとつが、日常的に食べる食材の「柔らかさ」だ。骨付きの魚を自ら解体したり、硬い根菜類を噛みちぎったりする機会が激減し、フォークやスプーンで容易にほぐせる加工食品が増えた。その結果、指先で物体を繊細につまむ「ピンチ力」や関節の細かい調整能力が十分に発達しないまま大人になるケースが多発している。農林水産省が提唱する食育の現場でも、手元の筋力としなやかさの低下が「正しい持ち方を維持できない」最大の隠れた原因として注目を集めている。