患者側の工夫だけでなく、医療・ヘルスケアの現場を支えるテクノロジーも驚異的な進化を遂げている。特に注射針の開発において世界をリードするテルモ株式会社などの医療機器メーカーは、痛みを極限までゼロに近づける微細加工技術を磨き上げてきた。
針先を多面的にカットする特殊な刃面形状(ベベル構造)や、血管壁への摩擦抵抗を大幅に減らすシリコーンコーティング技術により、皮膚を「切る」のではなく「滑らかに押し分ける」ような刺入が可能になっている。外径の極小化も進み、針が細くなればなるほど痛点を刺激する確率自体が下がる。技術の進歩によって、現代の採血は過去の記憶にある激痛体験とは本質的に異なるものへと変わりつつある。