事件が起きたのは、ごく普通の平日だった。けたたましい電子音と光が交錯する店内に、突如として異質な金属音が響き渡る。男が懐から取り出したのは、日曜大工で使うような大ぶりのハンマー。標的となったのは、当時絶大な人気を誇っていたパチンコ機「牙狼」のシマだった。
目撃者の証言によると、男は無言で次々と液晶画面を殴打していったという。ガラスが砕け散り、高価な液晶が黒く染まっていく。周囲の客は恐怖で凍りつき、席を立って逃げ惑った。しかし、最も異様だったのは、背後のシマで何事もなかったかのようにハンドルを握り続ける他の客たちの姿だ。狂気と日常が奇妙に同居したあの数分間の映像は、監視カメラや居合わせた客のスマートフォンによって拡散され、日本中に衝撃を与えた。