近年、海外のジャーナリズムや国内の映像作家によって制作されている新世代の政治ドキュメンタリーは、国家の選択がいかに個人の運命を翻弄したかを浮き彫りにしている。沖縄の基地負担、密約を巡る証言の食い違い、そして報道陣との激しい対立――退陣記者会見で「新聞記者は出ていってくれ」と言い放った有名なエピソードは、権力者とメディアの軋轢を象徴する劇的な瞬間だった。
当時の日本国政府が下した判断は、経済成長を優先し、安保体制を強固にするための必然だったのか、それとも誠実さを欠いた国民への背信だったのか。映像が映し出す老宰相の孤独な表情は、観る者に容易な解答を許さない。