一部のネット掲示板や検索サジェストでは「ゲンスルーの声優交代は何かのトラブルが原因ではないか」といった憶測が散見されます。しかし、一次資料や当時の公式発表を検証すると、そうした推測は完全な誤解であることが分かります。
声優交代の直接的な要因は、2011年10月にスタートした日本テレビ系列の全国ネット放送に伴う「完全新作としてのフルリブート」です。制作スタジオが日本アニメーションからマッドハウスへ移り、監督をはじめとするメインスタッフも総刷新されました。それに連動し、キャスティングにおいても過去のシリーズを一切引き継がず、オーディションによる全面的な再選考が実施されたのです。
この方針はゲンスルー単体にとどまりません。主人公のゴン=フリークス役が竹内順子氏から潘めぐみ氏へ、キルア=ゾルディック役が三橋加奈子氏から伊瀬茉莉也氏へ交代したのを筆頭に、クラピカ、レオリオ、ヒソカ、幻影旅団の面々に至るまで、登場人物全員の声優が一新されました。
グリードアイランド編に登場する周辺キャラクターを見ても、その刷新方針は一貫しています。以下のキャスト推移を見れば、プロジェクト全体の大規模な方針転換であったことが明確に理解できます。
- ビスケット=クルーガー:木村亜希子氏(現:樋口あかり) ⇒ 横山智佐氏
- サブ(ゲンスルーの仲間):野島健児氏 ⇒ 横尾博之氏
- バラ(ゲンスルーの仲間):竹本英史氏 ⇒ 植竹香菜氏
- レイザー:古澤徹氏 ⇒ 黒田崇矢氏
- ゴレイヌ:鳥海浩輔氏 ⇒ 天田益男氏
日本テレビ版のプロジェクトは、連載当時の少年読者だけでなく、2010年代以降の新たな世代に向けたスタンダード版を再定義するミッションを帯びていました。したがって、ゲンスルーの配役変更も「前作の否定」ではなく「新時代のアニメーション表現としての再構築」という文脈で捉えるのが制作意図に即した客観的な事実です。