私立医学部選びにおいて、かつて最大の障壁とされたのが「莫大な学費負担」でした。1990年代から2000年代初頭にかけては、6年間の総額で3,000万円台後半から4,000万円超を要する大学が一般的であり、開業医や富裕層の子弟でなければ出願すら叶わないのが現実でした。
この状況を一変させた契機が、順天堂大学医学部の学費値下げです。2008年度に入学金・授業料を大幅改訂し、6年間総額を約2,080万円へと引き下げたことで、国公立大学志望の最優秀層が私立併願先として大挙して流入。偏差値の急上昇とともに、私立医学界全体のポジショニングを一気に塗り替えました。
さらに近年は、東京私立医学部学費安い順のランキング上位校に対抗すべく、各校が独自の減免策を展開しています。代表例が昭和大学医学部の特待生制度です。一般選抜の上位合格者に対して初年度や次年度以降の学費を大幅に減免する仕組みを設けており、国公立医学部との学納金格差を実質的に埋める選択肢として定着しました。
私立医学部学費6年間総額の相場が2,000万円台前半から3,500万円超まで二極化する中、「どの入試方式で特待枠を狙うか」が出願戦略の核となっています。