全国に点在する名店の中でも、製法や味わいにおいて群を抜く評価を得ているブランドをピックアップし、現地のリアルな実態を検証します。
伊香保温泉の「勝月堂」は、石段街の最上部付近に店を構えます。現在も早朝から職人が手ごねで生地を仕込み、セイロで蒸し上げる伝統を守り続けています。保存料を一切使わない生地は驚くほど薄く、しっとりとした質感。中のこしあんは北海道産小豆の風味が際立ち、甘さのキレが抜群です。現地では午前中の早い時間帯に当日分が完売することも珍しくありません。
群馬県草津温泉で絶大な支持を集めるのが「本家ちちや」です。湯畑周辺に複数の店舗を構え、観光客の行列が絶えません。ちちやの看板は、通常の茶色い黒糖生地(つぶあん)に加え、白い生地の中に「栗あん」と「こしあん」を同心円状に包み込んだ二色あんの温泉まんじゅうです。甘さと塩気のバランスが絶妙で、「草津に来たら両方を食べ比べないと帰れない」という固定ファンが定着しています。
神奈川県・箱根温泉街でモダンな和菓子文化を牽引するのが「和菓子 菜の花」です。箱根湯本駅前などに展開する同店の「箱根のお月さま」は、沖縄波照間産の黒糖と自然塩、十勝特別栽培小豆を使用し、約20分かけてじっくり蒸し上げたもっちりとした皮が特徴。同店の「ご黒うさん」など竹炭を練り込んだ個性派も並び、洗練されたパッケージとともに若い世代やギフト需要を強く掴んでいます。
静岡県の熱海温泉では、駅前平和通り商店街を中心とした「食べ歩き文化」が進化を遂げています。「桜井商店」などでは、店頭で湯気を上げる蒸し器から取り出したアツアツのまんじゅうを1個単位(約120〜150円)で購入可能。外皮のフワッとした弾力と、温まることで香りが立つ黒糖の風味は、食べ歩きならではの醍醐味です。
さらに注目すべきは、地方創生の象徴となった静岡県伊東温泉の事例です。コロナ禍の打撃によって惜しまれつつ暖簾を下ろした老舗温泉まんじゅう店が、地元企業の熱い支援と職人技の継承により、2023年11月に待望の復活オープンを果たしました。受け継がれた秘伝の配合を守りつつ、新たな包装技術やオンライン展開を取り入れ、2026年現在も伊東温泉の活気を支える起爆剤として観光関係者から高く評価されています。