今大会で観戦者や指導者の議論の中心となったのは、近年の審判規則最新情報に準拠した判定の厳格化です。全日本剣道連盟が推進してきた「正しい剣道の推進」と「鍔迫り合いにおける時間空費の防止」に関する運用指針は、中学生年代の試合運びを根本から変えつつあります。かつて見られたような、リードした後の鍔迫り合いによる膠着や時間稼ぎは即座に「反則」の対象となり、守りに入った瞬間に流れを失うシチュエーションが頻発しました。
試合会場の空気を一変させたのは、引き技の即時発動と、お互いが速やかに離れる「正しい分かれ方」の徹底です。審判員の鋭い「やめ」がかかる回数が増え、鍔迫り合いからのもつれ合いを狙っていたチームはことごとくペースを乱されました。現地取材に応じたある名門道場の指導者は、厳しい表情で次のように現場の感覚を語っています。
「自分から打って出て、外れたら即座に間合いを取り直して構え直す。この基本中の基本を徹底できている選手だけが、終盤のプレッシャー下で旗を重く動かすことができた。鍔迫り合いで相手の出方を伺う癖が抜けない選手は、審判の注意・反則の合図とともに焦りを生み、そこを出鼻面で捉えられていた」
緊迫した代表戦において勝敗を分けたのは、技の華麗さではなく「構えの崩れなさ」でした。延長戦に入り体力が限界に達する中、打突後に正しく残心を示し、姿勢を正して主審の宣告を待つ。そうした武道としての所作を徹底した選手側に、わずかな打突部位の捉えの浅さを補うだけの説得力が宿り、決定的な一本へと結びついていきました。