「偏差値の低い高校に入ると、大学進学は絶望的になる」という通念も、現代の大学入試においては完全に崩壊している。文部科学省の学校基本調査や各校の公式進路資料を分析すると、意外な大学進学実績が白日の下に晒される。
その原動力となっているのが、総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜(指定校推薦)の爆発的拡大である。全国の私立大学において、一般選抜を経ずに入学する学生の割合は既に過半数を超えている。この構造変化が、高校偏差値と大学進学実績のねじれ現象を引き起こしているのだ。
下位高校における進学戦略には、以下のような特徴的なアドバンテージとリスクが存在する。
- 評定平均「4.5以上」の獲得が容易:進学校ではハイレベルな生徒同士が競い合うため、評定平均4.0以上を維持するのは至難の業である。しかし偏差値30〜40台の高校であれば、提出物を期日通りに出し、定期テストで基礎問題を確実に正解するだけで、学年トップクラスの評定を獲得できる。
- 指定校推薦枠の余剰:伝統ある私立高校や一部の公立校には、摂神追桃(摂南・神戸学院・追手門学院・桃山学院)をはじめとする中堅私立大学の推薦枠が多数割り振られている。進学校では見向きもされないこれらの推薦枠が、下位校では誰も使わずに余っている事例が珍しくない。
- 一般入試への耐性ゼロという致命的リスク:指定校推薦や総合型選抜で大学に滑り込める生徒がいる一方で、大学入学共通テストや一般入試を自力で突破する学力は一切身につかない。模試の偏差値は40未満のまま大学に進学することになるため、大学入学後のリポート作成や専門講義についていけず、留年や中退に追い込まれるリスクを孕んでいる。
進学実績という表面的な数字の裏には、「学力の担保なき進学枠の獲得」という構造的なカラクリが潜んでいる点を見落としてはならない。