男性向け掲示板やSNSでは、定期的に「インナーを買う金があるならベンチプレスをして大胸筋を鍛えろ。筋肉をつければ乳首など目立たなくなる」という言説が飛び交う。だが、このマッチョイズム的なアドバイスは、解剖学的に見て半分が正解で、半分は完全な誤解である。
確かに、大胸筋上部(鎖骨部)と外側を徹底的に肥大させると、胸郭全体に厚みが生まれ、Tシャツの生地が鎖骨から胸骨中央にかけて前方にテントのように張る。これにより、胸板とTシャツの間に微小な空間が生まれ、布地が乳頭に直接押し当てられる摩擦や接触圧を軽減する効果は期待できる。
しかし、フィットネス指導者や現役ボディビルダーの証言によると、大胸筋下部を過度に発達させたり、体脂肪率が低下して皮膚が薄くなったりした場合、むしろ大胸筋の頂点に乳頭が位置することになり、突起がピンポイントのランドマークとして周囲からより強調されてしまうという逆転現象が頻発する。さらに、寒暖差や心理的緊張による交感神経の刺激で乳頭が勃起・硬化する反射は、筋肉量とは無関係に生じる自律神経現象だ。
したがって、「筋トレをすれば透け対策インナーが不要になる」と盲信するのは危険である。逞しい肉体を手に入れることは男らしいシルエット作りには寄与するものの、白い薄手Tシャツを着る以上、物理的な遮蔽手段(インナーやシール)との併用が不可欠であると認識しておくべきだ。