リング上で猛威を振るったダンプ松本だが、プライベートでは徹底した孤独を強いられていた。街を歩けば罵声を浴びせられ、実家にはいたずら電話や嫌がらせが殺到。母親を傷つけないよう、ダンプ自身は実家と距離を置かざるを得なかったという。
それでも彼女がヒールを辞めなかった理由は、プロ意識と家族への想いだ。「自分が悪役になれば、善役が輝く。会場が沸いて、会社が儲かって、親に仕送りができる」。自ら泥をかぶり、悪名を背負い続ける覚悟。それは華やかな女子プロレスの世界で生き残るための、あまりにも切ない生存戦略でもあった。
凶器攻撃や悪逆無道なファイトスタイルは、綿密な計算と自己プロデュースの賜物だった。観客が何を求めているのか、どうすれば最も憎まれるのかを常に考え抜いていた彼女の姿勢は、真のプロフェッショナルそのものと言える。