リンツの美味しさは、極限まで計算された「溶ける温度」にかかっている。フィリングの融点は人の体温よりわずかに低く設定されているため、口に入れた瞬間に一気に広がる。だが、この極上の口溶けこそが最大の弱点でもある。
特に夏場や室温が20度を超える室内で保管された場合、内部の油脂分が溶け出し、外側のシェルと混ざり合ってしまう。一度溶けて再凝固したチョコレートは、表面に白く浮き出るファットブルーム現象を起こすだけでなく、本来のなめらかさを失い、ベタついた不快な油脂感だけが残る。これが「脂っぽくて美味しくない」という悪評に直結しているのだ。