クマバチに対して「刺されたら命に関わるのではないか」と過度な恐怖を抱く人がいる一方で、「絶対に刺さない無害な蜂」と誤解している人も少なくありません。正しい対処を行うためには、クマバチの生態と性別による明確な違いを把握しておく必要があります。
頭上を旋回しながら人間に対して急接近してくる個体の多くはオスです。オスには縄張り意識があり、近づく動くもの(人間や他の昆虫)を確認するためにホバリング(空中静止)を行いますが、そもそもハチの毒針は産卵管が変化したものであるため、オスは毒針を一切持っていません。したがって、オスに刺される確率は構造上「ゼロ」です。
一方で、巣穴の中で産卵や幼虫の世話を行っているメスは毒針を持っています。ただし、スズメバチやアシナガバチのように集団で外敵を襲う社会性はなく、単独で生活する温厚な性格のため、手で直接握りしめたり巣穴に指を入れたりしない限り、メスから積極的に人を刺しに来る確率は極めて低いです。万が一刺された場合でも、毒性はスズメバチに比べると軽微ですが、激しい痛みや腫れを伴い、体質によってはアナフィラキシーショックを引き起こすリスクがあるため油断は禁物です。
オスとメスを見分ける最大のポイントは「顔の前面の模様」です。顔の中央に白または黄色の鮮やかな三角形の斑紋があるのがオスであり、顔全体が真っ黒な個体がメスです。飛翔中に見分けるのは困難ですが、木材に穴を掘っている最中や巣穴に出入りしている個体は基本的にメスであると判断してください。