現代の消費者意識を調査すると、SNSや大手クチコミサイトでは「立ち食い蕎麦で海苔が乗るだけで100円高くなるのは納得がいかない」「老舗に行くとつゆの味が明らかに違って感動した」というように、利用する店舗形態によって評価が二極化しています。
都内の老舗蕎麦店で腕を振るうベテラン職人に話を伺うと、現場の実情について次のような証言が得られました。
「うちでは今でも、もりとざるで出汁の引き方から変えています。ざるそばには厚削りの本枯節を贅沢に使い、御前返しで甘みとコクを強く引き立てる。そこに上質な焼き海苔の香りが合わさることで初めて味が完成する仕掛けです。チェーン店さんではオペレーション上、同じつゆを使わざるを得ないところが多いですが、職人の店ではまったくの別料理として仕込んでいます」
つまり、「大衆チェーン店では単なる海苔トッピングの差」であり、「本格的な手打ち蕎麦屋や老舗店では料理全体の設計思想の差」であるというのが、現場における偽らざる実態です。