受験生の間でまことしやかに囁かれる誤解の一つに、「どんな二重根号でも、式変形を工夫すれば必ず外せるはずだ」という思い込みがあります。しかし実際には、「そもそも綺麗に外せない二重根号」のほうが数学的には圧倒的多数派です。
二重根号 √{ p ± 2√q } が有理数の平方根(√a ± √b)の形に外せるための必要十分条件は、次の2点に限られます。
- 足して p、掛けて q となる2つの有理数 a, b が存在すること
- 二次方程式 t² - pt + q = 0 の判別式 D = p² - 4q が「有理数の2乗(平方数)」になること
例えば、√(5 + 2√3) という一見シンプルに見える式を考えてみましょう。「足して5、掛けて3」になる組み合わせを探すと、二次方程式 t² - 5t + 3 = 0 を解くことになります。解の公式を使うと t = (5 ± √13) / 2 となり、解の中に再びルート(√13)が現れてしまいます。これでは二重根号を外したことにならず、堂々巡りに陥るだけです。
近年の大学入試問題や共通テストでは、無理に二重根号を外そうと悪戦苦闘させ、貴重な試験時間を奪う「時間泥棒」のようなトラップ問題も散見されます。因数分解が即座に見つからないときは、「二重根号を外す方針を捨て、式全体を2乗して評価する」「両辺を2乗して有理化する」といった別ルートへ即座に頭を切り替える柔軟性が求められます。