広大な境内を誇る住吉大社では、どこからどのように巡るかによって体感できる意義が大きく変わります。多くの参拝者が迷いがちな参拝順序の詳細まとめとして、まずは基本となる四棟の本殿参拝から確認しておきましょう。
住吉大社の本殿は、奥から「第一本宮(底筒男命)」「第二本宮(中筒男命)」「第三本宮(表筒男命)」が一直線に並び、第三本宮のすぐ右隣に「第四本宮(神功皇后)」が配されています。公式の案内では、鳥居をくぐって手前から順に、第三本宮・第四本宮から参拝し、第二本宮、そして最奥の第一本宮へと進むルートが自然な動線として推奨されています。手前から奥へ向かうにつれて神気の深まりを段階的に受け取る構造になっており、神代の禊の深浅を追体験する配置です。
さらに、大阪の商人文化と深く結びついた独自の信仰体系が、境内社を舞台に繰り広げられる「初辰(はったつ)まいり」です。毎月最初の辰の日に参拝するこの伝統行事には、以下の2大拠点を中心とする明確な祈願の道筋が存在します。
まず訪れるべきは、種貸社のご利益の経緯に深く関わる「資金・知恵・子宝」の神。かつて稲の種を授けて豊作を祈った農耕儀礼が原点であり、時代が下るにつれて「商売の元手(種)を授ける」「子宝の種を授かる」霊験へと発展しました。資本金や新規事業のアイデア、新たな命を授かりたい人々が全国から参集します。
そして初辰信仰の代名詞ともいえるのが、楠珺社の初辰まいりです。樹齢千年を超える巨大な楠の根元に位置し、商売発達・家内安全の祈願所として知られます。参拝者が授与されるのが、右手を挙げた「商売繁盛(金運)」または左手を挙げた「家内安全(人招き)」の小さな土人形「招福猫(初辰猫)」です。奇数月と偶数月で左右の手が異なり、毎月1体ずつ集めて4年間(48回参拝)で48体揃うと、中猫1体と交換してもらえます。「四十八辰=始終発達」という語呂合わせに込められた継続の美徳は、一時的な利益ではなく持続的な繁栄をもたらす仕掛けとして、今なお多くの経営者や自営業者を惹きつけています。